実施報告:第3回国連防災世界会議パブリック・フォーラム「森の防潮堤推進シンポジウム」にお越しいただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。

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第3回国連防災世界会議パブリック・フォーラム「森の防潮堤推進シンポジウム」は、大盛況の中、無事終えることができました。

平日の午後にもかかわらず会場にお越しいただいた約550人の皆様、そしてご講演者の皆様に心より感謝申し上げます。



概略と共に、内容をご報告します。

1)主催者挨拶
「いのちを守る森の防潮堤」推進東北協議会 会長 日置道隆

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森の防潮堤は生きた材料による生命の固まりである。
多様な生命と共存することで、万一のときには生命の生きようとする意志に我々が生かされることが期待される。
当シンポジウムを通して、感じ、考え、そして行動して欲しい。

2)映像公開
「レジェンド・オブ・ザ・フォレスト 宮脇昭87歳と木を植える子どもたち」

<第1部:基調講演>

3)-子どもたちの脳を育む森づくり-
日立製作所フェロー、公益社団法人日本工学アカデミー副会長(脳科学者) 小泉英明

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情報化によってバーチャルな世界に人間の脳がさらされている。
核家族化、少子化によって他人と疎遠になる個人化が進んでいる。
効率化が求められる結果、価値観が矮小化しつつある。
縦線の世界に置かれた子猫は横線を認識できなくなる。
子どものときに数時間片目に眼帯を付けただけで弱視になる。
子どもの脳には自然と触れあうべき大切な時期が存在する。
直線によって囲まれた世界で育った子どもに自然の曲線は理解できない。
やる気、生きる力は旧皮質から生まれる。
意識の下を重視すべきである。
人間だけだ未来を想定し、意志を持って未来を選択することが出来る。

4)-“「私」が生きる”のが生物-
東京工業大学名誉教授(生物学者) 本川達雄

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生命とは「わたし」を繋いでいくことを目的としている。
環境変化に対応するために子という「わたし」は元の「わたし」とちょっと異なるようにつくる。
生命は多様性を認めることで「わたし」を繋ぎ続けて来た。
ところが現代人の「わたし」は本人の「わたし」だけを認め、極めて狭くなっている。
子も孫も「わたし」。その子孫が行き続けられるための環境もまた「わたし」と捉える考え方が必要ではないか。

<第2部:いのちを守る森づくり>

5)-東北被災地の海岸林再生とふるさと復元-
横浜国立大学学長 鈴木邦雄

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防潮堤に求められていることは多様である。
万が一という非日常と平時の日常とで求められることは異なる。
ただ元に戻すだけでなく、多様な要求に応えられる防潮堤が必要である。
環境に応じて修正する柔軟さが必要である。

6)-コンクリート防潮堤と森の防潮堤-
立命館大学環太平洋文明研究センター長(環境考古学者) 安田喜憲

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地球は90万年前から10万年周期で氷河期と間氷期とを繰り返してきた。
現在日本列島の大半を覆う照葉樹林は実に四つ以前の間氷期までさかのぼらないと出現しない。つまり、日本人は照葉樹林を背景に生きてきた。
日本の潜在自然植生が照葉樹林を中心としていることの証明である。
日本人のバックボーンとしての照葉樹林を見つめ直すことが重要である。

7)-森里海連環学の課題「いのちのふるさと海と生きる社会」-
京都大学名誉教授(森里海連環学提唱者) 田中 克

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コンクリート防潮堤によって海と山とを繋ぐ道が閉ざされようとしている。
アサリもウナギも水辺で遊ぶ子どもも、津波によって撹乱された立地に戻ってきている。
人間が重機でつぶしてきた自然が元に戻っただけである。
再びこの自然を重機で押しつぶしてしまうのか、立ち止まり考える時に来ている。

8)-三五の森の防潮堤「南海トラフ地震に備えて」-
株式会社三五 安全・環境部 高野 薫

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一民間企業であるが、森づくりを社是として植樹を行ってきた。
愛知県豊橋市にある工場では、東海東南海地震の津波に備えて、工場を囲う森の防潮堤づくりをおこなっている。
植樹後数年が経過し、森として生長しつつある。
被災地の森づくりを全面的に応援し続けていく。

<第3部:岩沼市「千年希望の丘」という挑戦>

9)-「千年希望の丘」プロジェクトについて-
岩沼市長 菊地啓夫

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東日本大震災によって岩沼市は48%が冠水し、181名の犠牲者が出た。
多重防御のひとつとして、千年希望の丘の建設を開始した。
多重防御は海側から、①コンクリート防潮堤、②千年希望の丘、③貞山堀、④県道の嵩上げ、⑤三陸道、となっている。
これまでに11万5千人の方に参加してもらい、10万本の苗木を植えてきた。
岩沼市の海岸線9㎞のうち1/3が完了した。残り2/3をこれからの2年半で実施していく。

10)-「震災学」から見た「千年希望の丘」-
東北学院大学副学長(哲学者) 佐々木俊三

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これまでの現代社会は土地の多様性を等価交換が可能なとなるように平均化してきた。
その結果、バイパスを走ればどこもおなじ風景となるような社会になっている。
質の差を量で測りうるもの考えてきた結果である。
これからは固有なもの、独自なものを意識し、尊重する時代になるだろう。
固有な風土、独自の風光を大切にしなければならない。

11)閉会挨拶
公益財団法人 生存科学研究所理事長 青木 清

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(敬称略)

最後に、本シンポジウムにご協力いただいた公益財団法人生存科学研究所様、株式会社アミノ様、学校法人尚美学園様、東北電力株式会社様、株式会社三五様、東北エアサービス株式会社様、株式会社中居堂様、宮城県柴田農林高等学校様、パナソニック松愛会東北支部様、株式会社清月記様、特定非営利活動法人いしのまき環境ネット様、雄勝硯の皆様、認定特定非営利活動法人JETOみやぎ様、NPO法人どんぐりモンゴリ様、トヨタ自動車株式会社様、横浜ゴム株式会社様、千年希望の丘協会様、エスペックミック株式会社様、そして、岩沼市様と株式会社エフエム仙台様に厚く御礼申し上げます。