「いのちを守る森の防潮堤」推進東北協議会では東北産の広葉樹の種子を集めて、苗木づくりを行っています。
今年も種子採種を開始しました。
まずは8月末~9月初旬に結実するタブノキからスタートです。
北は気仙沼市から南は山元町まで、宮城県を中心にタブノキの種子を採取して回りました。
今日はそのうちの1箇所、宮城県石巻市田代島での種子採種を報告します。
田代島は牡鹿半島の南端近くに浮かぶ島です。
黒潮の影響により温暖な気候で、タブノキの原生林が島内各所に見らます。
「日本植生誌」 においても貴重な暖温帯性の樹林が残る場所として記載されています。
30度を超える8月下旬、我々は田代島を訪れました。
一日がかりで島内各所を巡り、多くのタブノキの母樹に出会い、種子を採種することが出来ました。
しかしながら、本土と同様、ここ田代島でもタブノキは不作でした。
今年の冬の低温が影響しているためか、本土でもタブノキは軒並み不作となっているのです。
期待したほどの収穫は得られませんでしたが、手のひらの中できらきらと光るタブの実は「いのちを守る森の防潮堤」を支え、守ってくれる弾丸のようにたくましく見えました。
田代島の満福寺の副住職である永松賢道さんが今回のわれわれの案内役してくださいました。昨年に引き続き、タブノキの種子採取に参加された永松さんに感想を伺いました。
2年目となる田代島でのタブノキの実の採取ですが、今年は全体的に結実している木が少ない印象でした。
また、8月後半になっても濃い紫色に熟成している実がほとんど見られない状況でした。
それでも数度にわたって実を採取することができました。
あの猛暑の中、多種の常緑広葉樹に包まれた森の澄んだ空気の心地よい冷気は、いのちそのものを浄化してくれるような清涼感として身体の記憶に深く残って忘れられません。
この秋にはカシ類をはじめドングリの種拾いが待っています。
多くの方々に支えられて「いのちを守る森の防潮堤」計画は少しずつ進んでいきます。