東日本大震災による海岸林の被害

東日本大震災の概要は以下のとおりです。

発生時刻:平成23年3月11日午後2時46分頃
震  源:太平洋三陸沖、牡鹿半島の東南東130km 付近、深さ24km
規  模:マグニチュード9.0(最大震度7)
最高潮位:9.3m
遡上高さ:最高40.5m(国内史上最大)
浸水面積:561k㎡

 

この未曾有の津波により、東北地方から関東にかけての太平洋側沿岸の海岸林は大きな被害を受けました。

before - 2008年 / after - 2011.3.12 宮城県仙台市若林区衛星写真 出典:国土地理院



 

主要被災6県の海岸林の浸水被害は合計約3,660haにのぼります。
空中写真を用いて流出・水没・倒伏状況を判読した結果では、被害率区分 75%以上が約3割、25~75%が約2割強となっており、実に1,718haが樹林を失うという甚大な被害を受けました。
(出典:東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会(林野庁)
今後における海岸防災林の再生について(平成 24 年 1月24日))

被害率区分75%以上というのは仙台空港東側の事例のようにほとんどの植生が失われる事態を指します。

ほとんどの植生が失われた仙台空港東側海岸林 - 2012.5.25 国土地理院



 

他には筋状に海岸林が残った仙台市若林区のような例や、ほぼ全体としては残されましたが一部が流出するという事例など、その被害形態は多様なものです。

筋状に植生が残る仙台市若林区海岸林 - 2012.5.25 国土地理院



 

海岸林のマツの被災形状は大きく3種類に分けられます。

①倒伏


津波の力によって根元から地面に倒されている形状です。
若い木に多く見られる被害形状です。

 

②折損


根は残っているのですが、地上部が途中で折れ、失われている状態です。
盛土や砂丘の上など地下水位からの距離があり、「杭根」を伸ばすことができたような場所に多く見られます。
つまり津波の引き抜こうとする力には耐えられたものの、幹が耐えられずに折れてしまった場合です。

杭根



 

③流失


樹体ごと津波と共に内陸地へ流れていってしまったものです。
多くの場所でこの流失した樹木によって家屋が破壊されるという結果を招いたと言われています。

流失したマツによって破壊された民家



防潮堤の後背湿地など地盤高が低く、地下水位との距離が近いために根が「皿根」になってしまい津波の力に耐えられなかったのです。

皿根



 

海岸林への津波の影響は、直接的な波による衝撃、洗掘だけではありません。
土壌にしみこんだ海水の塩分の影響や地下水位の変動は現在も生き残った樹木に影響を与え続けています。
地震による地盤高の低下、地下水位の上昇、海水の流入は樹木の生育基盤を脅かし、
震災から時間が経過するにつれて、徐々に落葉がすすみ衰退する木々が増えているのです。

地盤沈下により地下水位が上昇し、枯死に瀕するアカマツ



 

樹勢の衰えた樹木は病害虫への抵抗性が大きく衰えます。
津波を生き延びたマツも、樹勢の低下、そして天敵ともいえる「マツノザイセンチュウ」の脅威にさらされています。
幸運にも樹林が残された海岸林においても、震災の被害を乗り切ったとは言い切れません。
注意深く見守ると共に、必要な措置を行うことが不可欠です。

 

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