森の防潮堤の提案


海岸の厳しい環境から生活や生産の場を守るために、先人たちにより、潮風やヤセ地に強く、成長の早いクロマツ・アカマツによる海岸林が作られてきました。

 



東日本大震災に伴う津波では、津波対策として機能すべき多くの防波堤や海岸林が破壊されました。
流木化したマツが家屋を破壊すると言った二次的な被害も生じました。
被災地の生活再建のためには、防波堤や海岸林の再生は不可欠ですが、果たしてこれまでと同じように、クロマツによる海岸林を再生することで、よいのでしょうか。

 


被災地の海岸付近で生き延びた木々や森を知ることにより、その土地で災害に最も強く長持ちする植生は何であるかを知る手がかりとなります。
被災したクロマツ海岸林では、トベラやマサキといった広葉樹が生き残っており、東北地方の海岸には、タブノキやシロダモといった常緑広葉樹を中心とした森が残されています。

海岸に近く、土壌条件の非常に厳しい環境ではクロマツも必要かもしれませんが、単一種ではなく、津波を乗り越えて生きる広葉樹が混生する森こそが、地域に最も適した防潮林ではないでしょうか。
多様な樹種から構成される森は、世代交代を繰り返しながら存続し、自然の猛威の前に痛むことはあっても、たくましい生命力で萌芽再生します。
単一種植栽と異なり、病虫害にも強く、枝葉が密に茂ることにより防風・防砂機能を有し、そして万が一の津波にも波砕効果により、津波のエネルギーの減衰が期待できます。

 



森のそれぞれの構成種が根を深く張り、それが相互に絡みあうことにより、津波に耐えます。
木が残されることで、津波の引き潮時には、財産や命を守る森となります。

 


被災地で発生した瓦礫を選別し、害の無いものは穴を掘って埋め、植物の根が入るよう土と混ぜます。
その上に土をかぶせ、土塁状の植栽地をつくります。
この土塁を高くすることで、津波への防潮機能が高まります。

 


植栽には高さ50cm程度の、大きくなる力をもった多種多様な広葉樹苗木を使用し、自然状態と同様、相互に競争させながら森を形成させます。
小さな苗木を使用するので、ちいさな子供たちやお年寄りにも植栽が可能です。
多数の市民が参加することで、より復興や防災への意識が高まります。
2~3年は草取りが必要ですが、それ以降は自然の成長に任せます。
苗木は競争しながら成長し、子供が成人する20年後には、高さ10m以上の豊かな森となります。

 


森は平常時は海岸の保安林として、防風・防砂機能を発揮し、地域の景観形成や多様な生物の住処となります。
私たちは大震災の多大な犠牲者の鎮魂のためにも、自然と共に生きる知恵の波を作らなければなりません。
愛する人を守るため「いのちを守る森」づくりを始めましょう。

 

 

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