宮城県議会におきまして、去る7月6日に全会一致にて「いのちを守る森の防潮堤」計画が可決されております。
地元自治体の民意をどのように国や行政が受け止め、復興に活かしていくのか注目が集まります。
宮城県議会決議を転載すると共に、議会の動画を掲載します。
「いのちを守る森の防潮堤」実現に向けた決議
東日本大震災は、人知の予測をはるかに超えた大自然の猛威を見せつけ、とりわけ巨大津波は、沿岸部に壊滅的被害をもたらし、おびただしい数の人命と財産をのみ込む事態となった。
この未曽有の大災害を教訓に、私たちはこれまでの津波対策のあり方を根底から見直し、六百年後、千年後の未来に向けて、万全の安全安心な津波対策を構築する責任が、今問われている。
さて、世界的な植物生態学者として著名な宮脇昭氏は、膨大な瓦れきと土を使って沿岸部に築山を築き、そこに東北地方に植生する広葉樹等を植栽することによって、津波に対し強靭な森の防潮堤を築くという「いのちを守る森の防潮堤」構想を提唱している。
コンクリート製防潮堤をハード防潮堤とすれば、森の防潮堤はソフト防潮堤に位置づけられる。この「いのちを守る森の防潮堤」は、植物自身の成長力によって密生した森をつくり上げていくため、維持管理費がかからず、永続的な耐久力があり、かつ自然との共生の観点から見ても、県土の自然景観の保全や二酸化炭素削減など環境・観光両面での寄与もはかり知れない。そして何よりもとうとい命を奪われた方々の鎮魂の森、慰霊の森としての役割も期待されている。
これまで、宮城県議会では、超党派による「いのちを守る森の防潮堤」推進議員連盟を設立し、県議会を挙げて活動を展開してきた。
もとより、被災地の膨大な災害廃棄物の迅速な処理のため、広域処理が進められているが、構想実現を図るためには、瓦れき処理上の法規制の緩和をはじめ、一定の条件のもとで埋め立てが認められるようになった流木・倒木等の丸太類の量的確保、木質類埋め立て場所の安全性についての科学的知見に基づく検証、海岸堤防と森の防潮堤の機能補完を図るためのハイブリッド工法などの新しい工法の確立、復興交付金等による事業費の制度化など、広範囲に解決しなければならない課題が山積している。
よって、本県議会は、県当局に対し、自然の猛威を自然の力で減災する森の防潮堤構想実現に向け、国や市町との協議調整を積極的に取り組むよう、強く要望する。
右、決議する。
平成24年7月6日
宮 城 県 議 会
【動画】「いのちを守る森の防潮堤」全会一致で可決(2012年7月6日宮城県議会)